2月県議会一般質問
2015.03.02
2015年2月県議会一般質問 和田明子
長野県いじめ防止対策推進条例について
今議会に、いじめ防止対策推進条例案がだされましたが、長野県ではすでに平成26年3月に「いじめ防止等のための基本的な方針」を策定しています。基本的な方針にそって具体的にいじめ防止のためにどのような取り組みがされてきたのか。どのような成果があったのか。教育長にお伺いします。
条例案について、お聞きします。
条例案の第4条には「児童生徒は、いじめを行ってはならない。」といじめの禁止が規定されています。しかし、こどもたちが集団で学校生活を送っていれば、何らかの形でトラブルが発生するものではないでしょうか。いじめはどの子どもにも、どの集団においても起こりうるものであり、だれもが被害者にも加害者にもなる可能性があります。「いじめの禁止」は、こどもの管理強化につながらないか。いじめを見えなくする。隠ぺいにつながるのではないかと危惧するところです。むしろ、「なぜいじめをしてはいけないか」を教育的に説くことが大事ではないかと考えますが、教育長いかがですか。
また、条例案のほとんどが国の法律を引き写しているにもかかわらず、第7条2項で、「教職員の言動が児童生徒に与える影響を十分に認識して授業その他の教育活動を行わなければならない。」とあります。これは教職員の教育活動に制限を加え、管理が強まるのではないかと思います。なぜ、この条項を新たに付け加えたのか。教育長に伺います。
長野県は全国に先駆けて30人規模学級を中学3年生まで実施していますが、文部科学省の調査資料によると、90%以上の子どもが35人以下学級に在籍している県とそうでない県では35人以下学級に在籍している県の方がいじめ件数が少ないと示されています。
公立小中学校で35人以下をAグループ、それ以外をBグループにすると長野県もふくまれるAグループは小学校で1000人当たりいじめ件数は、1.7人。Bグループは5.4人。中学でAグループは6.7人。Bグループは9.6人です。少人数学級のほうが明らかにいじめは少ないことがわかります。
山形県でも少人数学級を実施し、「さんさんプラン」で〇小学校低学年副担任制 〇別室学習指導教員 〇重点教科充実制などきめ細かに子どもたちに支援ができる教育環境を整えて、いじめ・不登校児童が減っています。
長野県はこれまでの取り組みに自信をもって、今後も少人数学級を継続し、さらにきめ細かな教育環境を整えていじめをなくす努力をして欲しいと思います。教育長いかがですか。
長野県いじめ防止対策推進条例(案)は国の「いじめ対策推進法」を長野県版に書き換え、知事の学校現場に対する権限が強化されることにつながり、教育への介入が危惧されるところです。いじめをなくす取り組みについても教育の独立性・中立性を尊重していくべきと考えますが、いかがですか教育長に伺います。
国の「いじめ防止対策推進法」では、地方公共団体に対して「地方いじめ防止基本方針」の策定は努力規定であります。条例制定は求めていません。また、「いじめ問題対策協議会」を置くことができると「できる規定」です。
県では、すでに定めた「基本方針」と「子どもの支援条例」の施策で相談・救済のための相談窓口と子ども支援委員会を設置することができ、当事者や県民の意見を聞いて充実させていくことでいじめ問題に対応できるのではないかと思います。
いじめ防止条例制定を急ぐ必要はどこにあるのでしょうか。
国が2013年6月に制定した「いじめ防止対策推進法」は、「教育再生会議」の第一次提言を具体化したもので、内心の問題である情操や道徳心、家庭教育にまで踏み込み、いじめの加害には「懲戒」や「出席停止」などの厳罰化で対処する問題のある法律です。衆議院・参議院ともわずか4時間。十分な審議をせず、反対の声を押し切って可決された法律です。国の推進法を引き写したような条例はいらないのではないですか。教育長いかがですか。
「いじめ自殺」が後を絶たない、深刻な社会問題です。
「いじめ」はいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。
第一にすべきは「いじめ」から、こどもたちのかけがえのない命を守る責務が学校と行政にあることを明らかにすることです。そして、なぜ「いじめ」がここまで深刻なったのか、教育や社会のあり方の問題ととらえて根本的に改革が求められています。
こどもや先生がのびのびと安心した学校生活を送ることができ、人権教育、民主教育、開かれた学校づくりを、子どもを中心に保護者や地域とともに作り上げていくことこそ大事であり、そのために教育環境を整えていただきたいと要望します。
信州ACEプロジェクトについて
知事の提案説明で長寿日本一を更に確実なものに、医療・健康分野に携わる有識者の意見等も踏まえ、「信州ACE(エース)プロジェクト」を本格的にスタートさせるということですが、ACEプロジェクトの今年度の成果はどんなものがあったか健康福祉部長に伺います。
ACEプロジェクトのうち「E(健康に食べる)」について質問します。
真田町教育長や上田市教育長を務められ、現在は食育アドバイザーとして全国的に活躍されている大塚貢先生の給食の改善によって、非行やいじめ・不登校など生徒が荒れていた学校が変わったことについては、ご存じの方も多くおられることと思います。
私は、先月、長野市内で大塚先生の講演をお聞きし、懇談する機会があり大いに感銘を受けました。
大塚先生は、荒れた学校が、「授業の改革」「給食」と「花」ですっかり変わったと言われています。とりわけ「給食」に力を入れて週5回米飯に、おかずは肉中心から青魚を多く使い、食材は地元の農家やJAの協力で無農薬・低農薬のコメ・野菜・大豆・果樹など提供を受けて、真田中学では90%は無農薬・低農薬の地場産の食材を使っているということです。
給食を変えて、非行、不登校がなくなり、優秀校になったと大塚先生は言われます。
ACEプロジェクトを本格的にスタートさせるならば、県内で取り組まれてきた、こういう実践に学んで、県内の学校給食で食育を推進し、米飯給食を増やすこと。地元産・県内産の米、野菜、果樹など、地元食材の使用率を上げること。タンパク質を肉中心から魚・大豆などの比率を高めることなど、こどもたちの健康な体づくりにつながるよう取り組んで欲しいと思います。
肉より魚のコストが高く導入に踏み切れないのであれば、県が以前にも地域食材の日で食材費の一部を負担したように支援をしてはどうかと考えます。教育長に伺います。
また、ACEプロジェクトは、
働き盛りの人たちの健康の維持・増進のため、企業が行う従業員の運動習慣定着や食生活改善の支援。食事の改善は、飲食店やコンビニ、社員食堂等における健康応援メニューづくりを支援するほか、減塩や野菜摂取の実践に取り組み、広げるとしています。
この点でも、大塚先生の興味深い企業の実践を紹介します。
新潟県三条市にある、石油ストーブでおなじみ株式会社コロナでは、大塚氏の考えに魅せられた社長が、社員の健康のために社員食堂で地産地消メニューを取り入れ、社員の健康状態が改善され、経営面で生産性を上げているそうです。
コロナの社長は、社員の健康だけでなく、2000名の社員と家族にも食材を提供するのために、会社で新潟県内の遊休農地を借り上げ、米、野菜を有機栽培。それでも足りないので、宮城県に24haを借りて無農薬「コロナ米」を栽培。社員の家族も健康になって欲しいと取り組む徹底振りです。
ACEプロジェクトは「健康に配慮した食生活改善」で、コンビニでACE弁当を販売したそうですが、県職員に率先して啓発するために、誰でも利用のできる県庁の食堂を使って、ACEプロジェクトにふさわしく、地域の食材をふんだんに使ったメニューの提供をしてはどうかですか。健康福祉部長に伺います。
3 地域交通について
長野市内の通勤時間帯の渋滞は、慢性的で大変に深刻です。犀川にかかる丹波島橋と長野大橋は、南北両方向とも毎日数キロに及ぶ渋滞が発生しています。この状態は、時間もエネルギーも、さらに精神的な面からも社会的なロスは大きいと言えます。私も以前、犀川に丹波島橋と長野大橋の間にもう一つ橋をかけることも検討をしていただきたいと求めましたが、すぐに実現するものではありません。
すでにある社会資本を有効に活用し、現状の渋滞を少しでも解消していくべきと思います。
国道18号は長野大橋に向かい、長野インターからくる車両が入る古戦場入口あたりから渋滞が激しくなります。通過車両は五輪大橋へ分散できるよう、
(1) 五輪大橋の通行料金の無料化を検討してはどうかと思います。また、現在は社会実験で夜10時から朝6時まで無料ですが、無料時間を通勤時間帯まで延長してほしいと要望の声あるわけですが、実施の考えはあるか建設部長にうかがいます。
(2) 同様に通勤の利便性向上のため、長野市・大町市・小川村など関係自治体からも要望がある白馬長野有料道路日高トンネルの通行料金普通車210円は、他のオリンピック関連有料道路と同じ通行料金100円にすべきではないかと考えます。そのうえで、無料時間帯の延長をしてほしいと思いますが、建設部長いかがですか。
大塚先生の熱意に、賛同する自治体の首長さんも多く。福井県の小浜市長や静岡県の三島市長は子どもが変わるなら、大人も変わると市民参加で「食育」に取り組んでいます。
三島市で、長年の積み重ねで市民が健康になり、国保会計が黒字に転じたという結果に顕れているとお聞きしています。知事、是非とも、市町村の取り組みでも良いことは、県政に生かすという姿勢を持っていただきたいと要望しておきたいと思います。