議第6号 生活扶助基準の引き下げ方針の撤回を求める意見書(案)
2013.03.06
議第6号 生活扶助基準の引き下げ方針の撤回を求める意見書(案)
提案説明をおこないます。
政府は2013年度予算案で生活保護費の大幅削減を打ち出しました。
生活扶助は、2013年度に初年度分151億円の削減を手始めに、2013年度から2015年度まで3年かけて670億円、現行基準から6.5%の削減。さらに年末に支給される「期末一時扶助」は2013年度に一気に70億円分の引き下げをおこない、生活扶助と期末一時扶助を合わせると3年後には年間740億円、7.3%の引き下げを行うというものです。生活保護制度が始まって過去2回の引き下げ2003年0.9%、2004年0.2%とは比較にならない大幅な引き下げです。
社会保障審議会・生活保護基準部会の報告書では安易な基準の引き下げには慎重な姿勢であり、特に子育て世帯に対する大幅な引き下げには明確な警鐘を鳴らしつつ、低所得者世帯の消費水準と比較して生活保護基準が高いからと、生活保護基準を引き下げるという審議会の基準の見直しは90億円削減です。これ自体も認められないものでありますが、今回の削減額670億円のうち580億円は08年から11年までのデフレ分を反映させるということで削減額が6倍以上にもなっています。
デフレの比較年である2008年は、原油高の影響から物価が突出して高かった年であり、大幅に値を下げているのはテレビ、パソコンなどの家電製品です。生活保護世帯の家計に占める割合は低いものばかりです。逆に家計に占める割合が高い、食料、水光熱費、灯油などは値上がりしています。
このような大幅な生活保護予算を削減する方針を決めたことは、憲法25条の生存権の保障を根本から覆すものです。
生活保護基準は、最低賃金、課税最低限、就学援助制度はじめ様々な基準を定める際にも用いられており、課税や福祉全体に大きく影響します。政府は他の制度に影響させないと言いますが、完全に防ぐことは出ません。
生活保護は、最後のセーフティネットであり、生活保護受給者数が215万人と過去最多にのぼったことは、雇用情勢の悪化と社会保障が構造改革によって脆弱になっている顕れです。国民の最低生活を守る岩盤として、社会保障制度の要です。生活保護基準を引き下げれば、国民の最低生活を守る岩盤の意味を失い、際限なく国民の生活水準を引き下げるデフレスパイラルに陥る状況をつくりだすものです。
政府の生活扶助基準の引き下げ方針の撤回を国に求めるものです。
議場の皆様のご賛同を心からお願いして、提案とさせて頂きます。